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Interview | 2017.9.812:00

Le MéNÉCOは、
デザインの力で
ブランドを生み出す
プロジェクト。

手島領
Creative director / Art director / Movie director

2015年からHarumari Inc.(当時、螢光E.T.)とDESIGN BOYの協業でスタートしたギフトレーベル「Le MéNÉCO」は、商品コンセプトやデザイン・コンテンツ開発を行い、メーカーとのアライアンスによって制作・販売していく新しいモデルのクリエイティブビジネスです。このビジネスによって、2016年11月には日本各地のフルーツを使ったかわいいネコのスイーツショップ「Le MéNÉCO STORE」が広島に誕生しました。 さらに2017年9月には、派生ブランド「BONNIE D'AVRIL」が渋谷ヒカリエにオープン。 そんな「Le MéNÉCO」と「BONNIE D'AVRIL」のアートディレクションとデザインを手がけるDESIGN BOYの代表・手島領氏。これまで、広告クリエイティブのディレクションのほか、グラフィックやパッケージなどのアートディレクションを中心に数々のデザインを手がけてきた手島さんに、プロジェクトの概要を伺わせていただきました。(取材・文 上野麻衣)


「BONNIE D'AVRIL」誕生の経緯を教えてください。

「Le MéNÉCO」に共感してくれた新しいパートナーさんが現れて、新しいプロジェクトを立ち上げることになったんです。最初から決まっていたのは、商品がDELI系の鰹ダシおかゆ、「Le MéNÉCO」を気に入っていただいていたのでネコを使うというふたつ。なので、それらをどう掛け合わせるか、ということで、Harumari Inc.とともに、コンセプト開発を行いました。 まず、ブランド名なんですが、エイプリルフールのことをフランス語で「Poisson d'Avril」って言うんですね。直訳すると「四月の魚」。四月といえば初鰹が水揚げされる鰹の美味しい時期だから、「Poisson d'Avril」をもじって鰹にするといいんじゃないかと思って提案した「BONNIE D'AVRIL」が採用されたんです

アイコンはどのようにして生まれたんですか?

普通、具材のイメージが名前やマークになるじゃないですか。でもネコを使うという前提があったので、合体させて魚をくわえたネコにしました。あと、最近のネコブームも手伝ってネコのマークはたくさんあるので、魚をくわえていたほうがシュールでむしろ目立つかなと、結果的に気に入っています。 ちなみに「BONNIE D'AVRIL」のボニーは男の子なんです。だからピンクで女子の「Le MéNÉCO」に対して、「BONNIE D'AVRIL」は黄色にしようかと。西のメネコ・東のボニーって勝手に考えています。

このような案件だと、規定の容器を使うため訴求面の制限が多く、限られた条件の中でブランドの世界観をデザインしていくという点で大変だったんじゃないですか?

いやいや、そんなことはないです。「Le MéNÉCO」で鍛えたっていったらなんですけど、パッケージの形や素材のレベルにかかわらず、アイコンを1個つくるとか“これだけできちゃえば”という能力がここ何年かでつきましたね。あと最近は、広告なんかでもキービジュアル化していますよね。レイアウトがことごとく崩されるというか、レイアウトはデバイスなどに対してオートマティックに直されてしまう時代だと思うんです。なのでデザインが崩される、変化していくこと前提に、最近は自然と最小単位のキービジュアルをスクエアでつくるようにしています。デザインを横長でつくると、縦長にはできなかったりするじゃないですか。正方形にまとまるようにつくっておけば、ある程度のりしろがつくれる。インスタ的な発想に近いですよね。そういう時代の波感や匂いには敏感でいたいと思いますね。

デザインやクリエイティブの仕事をするうえで避けては通れないのが、自分たちの世界観にこだわりながらも、どこまでメジャーなマーケットの要望に応じるかというバランスの問題があります。そのあたり手島さんはいかがですか?

基本、作り手はいろんな人の意見を聞かないほうがいいと思います。なかには完全に閉ざしたほうがいいケースもある。とはいえ、例えば“高知県に住む62歳のおばちゃんがスーパーに来ました”というシーンも想像するんです。その人が手に取るか取らないかって。尖りすぎていると買ってもらえないから。結局、誰が買うのか、誰が読むのか、誰がどこで見るのか、っていうのは、常に繰り返し考えないとダメですよね。クリエイターはそこの感性と想像力を持っている必要があると思います。そうじゃないと客観的にいい悪いって言えない。 そういう点において、Harumari Inc.と一緒にやることで、「Le MéNÉCO」は当初完全なる妄想だったのに、その妄想を、ユーザーに届く形で発展させたり、ビジネス化することによって、たった3年で、ここまでプロジェクトが大きくなってきているんだと思います。

手島さんにとってHarumari Inc.の存在とはどんなものなのでしょうか?

デザインしたものが、お客さんの手に届くまでには何かしら時間がかかります。この届くまでの時間を設計してくれるプロデューサー的な存在と思います。音楽で例えるなら、ミキサーさん的存在かな。ミキサーによる音像設計が入ると、作家がMIXした状態よりもっと計算されたパッケージに出来ます。もっと言ったらライブのミキサーですよね。どういう音で聞かせたらここは盛り上がるとか、この人たちにはこの音のほうがいいとかを瞬間瞬間で考えてくれる。 Harumari Inc.は、僕の考えるデザインを、言葉と編集力で、言語化して再構成する、つまりミキシングをやってくれるんです。それによってコンテンツの価値を何倍にもしてくれる。「ようそんな解釈してくれたな、ありがたや」みたいなね。うまくやってくれたら、デザイナーとしてはやっぱりすごく嬉しいです。

まさにその部分はHarumari Inc.の強みでもあります。ここにお願いすると、すごくつまらないものも楽しくなる、みたいな。手島さんが今後やりたいことや目指す場所はどこにあるのでしょうか?

後世に残っていくものをつくりたいですね。消費されて受注されて終わりじゃなくて、発祥なんかまったく知らないけどこのブランドが好きとか、このデザインが好きとか、そういう思いが何十年、何百年後まで続くことにストーリー性があると思うんです。そうやって脈々と受け継がれ続けて進化していくブランドが作れるチャンスがあると言うのは、クリエイターとしては嬉しいことかもしれないですね。

Harumari Inc.とDESIGN BOYのビジョンが一致しているところはそこですよね。何十年も残るものをつくる、つまりブランドをつくるということだと思っています。Harumari Inc.はそれをメディアで、DESIGN BOYはそれをデザインで。それは「Le MéNÉCO」かもしれないし「BONNIE D'AVRIL」かもしれないし、これからつくるなにかかもしれない。でも、それがずっと残っていくというビジョンの一致がある。それをビジネス的にいうと「協業してやる」ということかもしれないですね。本日はどうもありがとうございました!


手島領

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒。博報堂を経て2005年「螢光TOKYO」設立。翌年「DESIGN BOY」設立。広告CMクリエイティブディレクション、映像監督、パッケージデザインなどアートディレクションを中心に、音楽・映画・演劇の宣伝美術・装幀・その他、幅広いジャンルでのデザインを手がける。2015年より自社開発のギフトレーベル「Le MéNÉCO (メネコ)」をスタート。お菓子、ワイン、日本酒など地産の銘品をセレクトするブランディング事業を展開中。